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岩手県北上市・ふるさと納税業務運営チーム
きたかみチョイス プロジェクトリーダー 登内芳也


年末のご挨拶にかえて、「私がふるさと納税に力を入れてきた理由と夢」を書かせていただきます。
長文ですがお読みいただければ幸いです。


●私は長野県生まれの東京育ち、埼玉在住で、北上市は15年ほど前に少し仕事でかかわった程度。
そんな私が北上市に住むことになったきっかけは東日本大震災でした。

2011年3月に東北復興支援団体を立ち上げ、首都圏の仲間たちと被災地を行き来していました。
長年、バイヤーと中小企業支援を生業としてきた私は、被災した中小企業のためにその経験が少しでも役立てば・・・と動いていました。

そんな中、宮城県で被災した水産加工卸会社の社長にこんなことを言われました。

「東京で開催してくれる東北復興フェアはありがたいのだけど、本音を言えば、本当にしてほしいのは一時的な売上づくりではなく、継続的な売上に繋がる仕事なんだ。」

言われてみれば当然のこと。
しかも、従来型の安価な孫請け、内職型の仕事ではだめで、利益がある程度出る継続的な仕事でなければなりません。
そのためには仕組みづくりをせねば・・・といろいろ模索して中で「ふるさと納税制度」に出会いました。


震災後に東北被災県は全国の方々からたくさんのふるさと納税寄附をいただいていました。
しかし、当時は返礼品はほとんど力を入れていませんでした。
いろいろ調べていくと、西日本や九州ではものすごく返礼品に力を入れていることを知り、まさに「これだ!」と思いました。

ふるさと納税制度は、寄附者にとってお得なことはもちろんですが、自治体も地域の中小事業者も、そして、その寄附の使い先である地域弱者や被災者も、なんと4者がハッピーになれる仕組みだからです。
事業者からはある程度の価格で買い取ることができ、制度が無くならなければいいモノであれば継続的な売上に繋がります。
近江商人の「三方よし」どころか「四方よし」でした。

そこで早速、沿岸の被災自治体まわりを始めました。
首長である、市長や町長、村長たちに「被災した地元企業のために、積極的にふるさと納税に返礼品を出しましょう!」と伝えていきました。
こんなにいい仕組みなのですぐに動き出すものだと思っていました。
しかし、多くの答えは違いました。
「被災したインフラ復旧工事をはじめ、ほかにせねばならないことがたくさんあるので、今すぐは難しい・・・」
確かに当時は職員数も大きく不足していたので、タイミングが早かったかもしれません。

しかし反面、地域事業者の声は違いました。
「早く、再建したい。販路を取り戻したい。新たな売上をつくりたい。そうしないと社員たちに給料を出すことができず、ほかの地域に流れてしまうし、お客様も戻ってこなくなってしまう。」
切実でした。

●そこで考えたのが、最初は沿岸被災地ではなく、まずは内陸の北上市から火をつけることでした。
そして沿岸地域のモノを内陸が仕入れてあげること。
内陸に誘客したお客様を沿岸に紹介してあげること。
そのために、ふるさとチョイスの須永社長に岩手に来てもらい、首長や職員たちにセミナーをしてもらったり、東京でのふるさと納税先進自治体会議に北上などの職員を連れて行き、他の自治体のやり方を見せて刺激を与えたり・・・

壁も多く、思い通りのスタートではありませんでしたが、北上市が動き出したことで、近隣の西和賀町や花巻市、そして私が最初に関った久慈市などが動き出し、今では沿岸部の自治体の多くが、地域の返礼品を出すようになってきました。
「人は刺激されて動く」ということが実感できた瞬間です。


●返戻品が予想以上に動き出したことで、事業者の意識も少しづつ変わってきています。
北上市は農林部が担当していることもあり「小さな農家や小さな会社の応援」を目的にやってきました。
農協や市場への卸売りばかりだったため、一般消費者に一件づつ小口発送をすることに慣れておらず、最初はいろいろありましたが、県外のお客様と直接やり取りすることに目覚め、今では自らチラシやパッケージデザインをしたり、パソコンを導入したりと直接販売に切り替えている事業者も増えてきました。
やはり、お客様の声が直接聞けることがとても嬉しいようです。

●北上市が返戻品に力を入れてからこの3年はとにかく日々出てくる課題・問題との戦いでした。
これは北上市に限らず、全国の自治体も同様です。
行政がはじめて通販事業に関わったようなものですから、その事業の捉え方が職員ごとに違い過ぎてなかなかまとまらないのです。
だから、担当者はその調整がものすごく大変で、よっぽど自分で独立して通販会社を立ち上げたほうが楽でしょう。
だから、心から担当職員の頑張りを褒めてあげたいです。


●この年末の大きな課題は、返礼品不足。
「小さい農家、小さい会社の応援」の辛いところが、それぞれの事業者が提供できる量がとても少ないことです。
せっかく「北上に寄附しますよ」とふるさとチョイスの北上市のページに来て下さっているのに「肉」や「野菜」など人気のあるジャンルは売り切ればかり。
嬉しい悲鳴のように聞こえるかもしれませんが、実はその量では事業者はまだ「儲かる」というレベルではないのです。
量が増えれば人手や設備がいります。
人や設備を増やすにはもっと売上を伸ばし、利益を上げる必要があります。
小さい会社にはその資金がありません。
そして、ふるさと納税制度が来年も継続するかどうかわからないため、なかなか設備投資や借り入れには二の足を踏みます。
なかなか難しいところです。
そこで、事業者の皆さんや役所と、来年に向けて小規模事業者の発展のためにどうすべきかいろいろ考えていきますが、せっかくいただいた寄附金の使い道として「小さい会社の支援」をもっと強化すべきだと思います。


●事業者の応援寄附
北上市の返礼品の条件は「北上らしさ」なのですが、実はもう一つあります。
それは「地域をよくしようと頑張っている事業者かどうか」「地域課題を解決する事業をしている事業者かどうか」です。
つまり、返戻品で採用するケースと、事業者として採用するケースがあります。

例えば
・夏油高原スキー場(北日本リゾート)。
農家の冬の仕事としてこの会社の存在意義は大きく、再建のために菅原社長が頑張ってくれています。
(夏油スキー場リフト券、温泉券、雪)
・カシミヤ工場のユーティーオー。
宇土社長は国内の縫製職人をなくさないために!と地域の若者の育成をしています。
(北上産カシミヤ製品)
・NPOくちない
足のないお年寄りのために地域民間輸送サービスやお買物の出来る場所の提供を。
(ごしょ芋コロッケ)
・更木ふるさと興社
更木地区の雇用づくりのために、地元の人たちがお金を出し合って桑加工工場を立ち上げています。(更木桑茶セット、桑茶そば)
・ハートフルまごころ
障害者施設でつくったものを販売するお店です。
(ワークステーションきたかみでつくった「福幸おやき」など)
・かぎや菓子舗
阿部社長は、自立支援センターの仕事づくりとして、地域特産品の二子さといもの廃棄部分を活用した頭芋の収穫と加工。それによって「二子さといもサクサクもっちりタルト」が誕生しました。
・枕流亭
岡島社長(北上コロッケ)もかぎや菓子舗と同じく、自立支援センターの仕事づくり。
などなど

つまり、それら返礼品を選択するということは、その事業者の活動を応援してくれたということになるのです。


これら事業者の返礼品はこちら

●最後になりますが・・・私には夢があります
「小さい農家や小さい会社を応援すること」
これは北上市のふるさと納税の目的です。
「ふるさとチョイスアワード2016」のテーマでもそれを出させていただきましたが、多くの投票者(寄附者)の皆様のおかげで大賞をいただくことができました。心より感謝いたします。
そして、夢とは
「その活動を通じて、社員の福利厚生と給料をよくしていくこと」です。

北東北に入って分かったことがありました
最低賃金が低く、自殺率や長時間労働率が高いエリアだということ。
その大きな原因として、下請け、孫請け、内職型の仕事が多いことにありした。
(その中でもしっかり稼げている会社もあるので、もちろん全部ではありません)
そこで、利益率の高い仕事を創り出し、継続運営させていくことが私の夢であり目標です。
地域全体がそうなればいいのですが、私の力でできることは、まずは自分の居場所「きたかみチョイス」からチャレンジしていきます。

ちなみに、きたかみチョイスの仕事「ふるさと納税業務の運営」は、そのためのきっかけにすぎません。
新事業開発をしてしっかり利益を上げ、地域を幸せにすること。
その新事業づくりのテーマは「子どもの笑顔」です。
応援いただければ嬉しいです。

来年が皆様にとって素敵な年になりますように!


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