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今回の特集はカシミヤ素材のセーターやマフラーを生産する、株式会社UTO(ユーティーオー、以下UTO)。カシミヤに惚れ込んだ宇土社長率いる同社は、日本製のカシミヤで世界を目指しています。

シリーズ2回目です(全3回)。

第1回 この一枚は、あなたのためだけ。世界でも珍しい、カシミヤニットのセミオーダーを扱うUTO

UTOのカシミヤについて、宇土社長のこだわり

カシミヤはカシミヤゴートというヤギの産毛から紡がれます。羊のようにバリカンで刈るわけではなく、専用の櫛で梳くため手間がかかります。それでいて1頭からとれるのはわずか170gほど。セーター一着で約4頭分が必要と言われています。

集められた産毛は選別され、最終的に糸になった時の価格はピンきりで10倍も違います。有名ブランドはもちろん上位クラスを購入しますが、UTOもそのうちの一社です。

UTOのカシミヤについて、宇土社長にその特徴やこだわりを話していただきました。




商品ができあがるまで。ニット業界のなでしこがつなぐ、熟練の技。

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UTOのカシミヤ製品は次のような工程を経て完成します。
プログラミング>編立(あみたて)>のし>リンキング>縮絨(しゅくじゅう)>仕上げ>内職>たたみ

それぞれがどんな仕事なのか、担当する方と共に簡単に紹介していきます。

プログラミング

プログラマーは、編立機の機械メーカーが提供している専用パソコンとソフトを使い、編み図の基本情報を設計する役目です。ここで設計を誤ると、最初から編み直しが必要になるので慎重さが求められます。

一見、機械的な作業ですが、セミオーダー製品の場合はお客様にサンプルを試着していただき、さらに微調整をして…と、平均で2回サンプルをつくるので、1回目のサンプルよりもさらにお客様の感覚にフィットするよう、完成品への想像力も必要です。

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担当は小原さん(写真上)。
「私が間違えたり、休んでしまったら…というプレッシャーは正直ありますが、仕事を前倒しで進める習慣をつけたり、入力内容のテンプレート化を進めたり、工夫しています。お客様に直接会うことはありませんが、オーダーシートで採寸表を見ながら、できあがりをイメージしながら進めています。」

小原さんは機械メーカーの研修を受け、先輩社員にノウハウを共有してもらうなどして、徐々に経験値を高めてきました。今では自在に操作しています。


編立(あみたて)

編立とは、セーターを構成するパーツ(前身頃、後身頃、右袖、左袖と衿)を編むこと。現在は自動化が進んでおり、大きなオルガンのような機械にプログラマーが設計した情報をセットし、糸を用意し、どのパーツがいくつ必要か数字を入力するだけで編みあがります。

担当は工場長でもある遠藤さん。この道50年の大ベテランです。一連の流れを説明してくれました。

「プログラマーの設計した情報をここにセットするだけ。今は昔と違って自動化されているし、特殊なスキルはいらないよ。」

▼糸をセットする
慣れた様子で糸をセットしていましたが、この糸のつなぎ方が特殊な気がします!
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▼編み上げるパーツと必要な数を入力する
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▼編みあがったパーツは機械から出てきます
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▼編みあがったパーツ(左から後身頃、腕、前身頃)
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のし

「のし」とはアイロンがけのこと。ここで編みあがったパーツのしわを伸ばします。


リンキング

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リンキングとは、編立で編まれたパーツをつなぎ合わせる仕事です。
フチに細かい切り込みのようなものがずらりと並ぶ円盤に、パーツの編み目をひとつひとつあてはめ、つなぎあわせていきます。

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現在は小松さんと玉澤さんが主に担当しています。
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完成まで途方もない時間を想像していたのですが、6年目の小松さん(写真上)は、セーター1着ならば70分で完成させるそうです。感心したところ、
「慣れですね。もう5,6年ずっとリンキング担当です。できる限りきれいに仕上げて、ミスのないように作業しています。」
と、こともなげに笑顔を見せてくれましたが、本当にすごい!

太い糸でざっくりと編まれたセーターと比較すると、カシミヤの糸は細いので編み目の数は格段に増えます。宇土さんが山梨工場時代に、カシミヤが得意なリンキング職人を確保するのに苦労したというのが少し分かったような気がしました。

小松さんも間違いなくニット業界を、UTOを支える貴重な人材ですね。

もうひとりが新人の玉澤さん(写真下)。
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彼女は、前回ご紹介したリンキングのプロフェッショナル、玉澤さんのお姉さん。
妹さんに誘われて入社しました。

「ニット業界は初めてです。まだまだ時間がかかってしまって…。早く皆さんのスピードに追いつきたいです。妹には、2年間は諦めずにやってみて、と言われているので頑張ります。」

今後の玉澤姉妹の活躍に期待大です!


縮絨(しゅくじゅう)

リンキングが終わった製品は縮絨の工程に移ります。
簡単にいうと、カシミヤを洗うことで糸の表面を毛羽立たせていく作業です。
この工程を経ると、細いカシミヤの糸が空気を含んで表面積が増え、保温性が増します。
洗うといっても、商品や枚数、その日の温度、湿度によって、専用洗剤の量も水の温度も替えていくという、繊細で高度な技術が求められます。
こんなところにも、カシミヤ専門工場ならではの積み重ねが活かされています。

洗った後は室内で自然乾燥させます。

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これらの工程を経ることにより、リンキング終了時には一見緩い感じに見えた編み目が詰まり、ふんわりと柔らかい肌触りになります。
写真下の左側が縮絨前のストール、右側が縮絨後に仕上げのアイロンがけまでしたところです。

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左側(縮絨前)は背景の白が透けて見えるほど編み目が緩めですが、右側は編み目が詰まっていることが分かります。
詰まるといってもぎゅっと固くなるわけではなく、ふんわり。
これには驚きでした。

仕上げ

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仕上げは、この日は髙橋さん(写真上)が担当していました。
UTOに入社してまだ1年目。
趣味で編み物はしていたものの、仕事でのニット業界は初めてとのこと。
お仕事はどうでしょう?

「高価なものなので、すごく気を遣って作業をしています。買い物に出かけると、洋服など、価格に関わらず素材やたたみ方が気になるようになりました。商品を見る目が変わってきたというか。」

普段から気になってしまうとは、

なんて研究熱心なのでしょう!


内職

次に内職と呼ばれる縫製作業に移ります。
ここではミシンや手縫いでタグをつけていきます。
この日は妹の玉澤さんが、セーターにUTOのタグをつけていました(写真下)。

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UTOタグはセミオーダーの証。
このセーターも、もう決まったどなたかのもとに届けられます。
そう考えると、この工場の中にある製品にはお客様を感じることができます。
量産されて店頭に並ぶのと、セミオーダー生産の大きな違いです。

玉澤さんの手元を見ていて驚いたのは、針で小さな編み目を数え、規定の位置にタグが収まるように細心の注意を払っていたこと。
カシミヤの糸は本当に細いので、編み目も大きくありません。
思わずしばらく眺めてしまいました。

「カシミヤは繊細な素材なので、風合いを損ねないよう、大事に扱っています。ものづくりの世界は昔から好きなんです。」

高校卒業からニット業界に就職し、既に11年目に入った中堅の玉澤さん。
リンキング、縫製など細かい作業はお手ものです。
頼もしい!

たたみ

徐々に最終工程に近づいてきました。
この工程では製品についているほこりを取り除き、規定のサイズを保っているか最終確認します。

ここで工程を振り返ると、縮絨とは本当に高度な技術が求められているということが分かります。
編み目にミスがなくても、縮絨の工程で失敗すると、縮んだり緩くなったり、風合いを損ねることもあるからです。
もちろん、購入後にお客様が洗濯されることも想定して調整します。

それぞれの仕事が次に影響するため、どの持ち場も皆さん真剣勝負です。

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たたみの担当は伊藤さん(写真上)。
この仕事は通算で8年目です。よりお客様に近づいていく工程なので、作業にも熱が入ります。

「早くほこりを取り除いて(完成品にして)お客様に届けたいという気持ちと、高級品なので隅々まで確認したいという気持ちとのせめぎあいです。プライベートで買い物に出かけても、ニットだとついつい広げて、編み目を確認したり、ほこりがついていないかすごく気になってしまいます。」

ここにも普段から研究熱心な方が!

それぞれが自分の持ち場で丁寧に仕事をし、次につなげていく。
時にストイックに突き進むその様子は、ニット業界のなでしこですね。

お忙しい皆さんにお願いして、一言メッセージをいただきました!



次は創業以来ロングセラーの「天使」シリーズの感想やショールームについてお伝えします。




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■本文(文、写真):(株)キミドリ