ふるさと納税制度には、寄附に対する返礼品を選ぶ楽しみだけでなく、寄附する活動を選択する権利もあります。北上市の場合は大きく8つのテーマから選ぶことができます。
  • 展勝地公園など市民の憩いの場の整備
  • 小中学校などの安全安心な教育環境づくり
  • 3次元ものづくりなど企業の製品高付加価値化や新分野への進出支援など産業の基盤づくり
  • 北上川の悠久な流れなど心に残る原風景を守り育てる景観づくり
  • 子育てや高齢者にやさしい環境づくり
  • 鬼剣舞など民俗芸能の継承・保存活動
  • ふるさとの自然環境の保全や地域づくり
  • 市長におまかせ
これらの活動は皆さんの寄附に支えられてい ますが、今回特集する返礼品「ごしょ芋コロッケと餃子」も、もともとNPO法人くちないが取り組む地域ボランティアタクシーの運営に役立てようと開発された商品です。そのためこの返礼品を選ぶと自動的にNPOの活動も支援することができます。
一度の寄附で2か所を応援するに等しいため、最近では徐々に「ごしょ芋」ファンが増えてきました。

今回は「ごしょ芋」を使った商品開発の背景や、全国に先駆けてのNPO法人くちないの取り組みなど、詳しくご紹介していきます!

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▼5,000円以上10,000円未満の寄附でもらえる
28A033 おばぁちゃん乗せてけろじゃコロッケ・餃子セットA
http://www.furusato-tax.jp/japan/prefecture/item_detail/03206/133592

▼10,000円以上20,000円未満の寄附でもらえる
28B070 おばぁちゃん乗せてけろじゃコロッケ・餃子セットB
http://www.furusato-tax.jp/japan/prefecture/item_detail/03206/133673

▼30,000円以上50,000円未満の寄附でもらえる
28D012 おばぁちゃん乗せてけろじゃコロッケ200個
http://www.furusato-tax.jp/japan/prefecture/item_detail/03206/133729

なぜ名前に「おばあちゃん」や「おでかけ」「乗せてけろじゃ(乗せてください)」が入っているのかもわかりますよ♪



地域でできることは地域で解決する。住民の困りごとをサポートする組織

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NPO法人くちないは、北上市東部にある口内(くちない)という地域で活動する非営利団体です。他地域に先行して少子高齢化が進み、商店や路線バスの撤退などが相次いでいた口内で、地域の困りごとを解決するため、住民らによって
平成21年に設立されました。

お話を伺った場所は、NPO法人くちないの事務所としても利用している、店っこくちない(写真上)。以前は、JAの支店に併設された小さな小売店だったのですが、平成19年にJA支店の撤退とともに閉店。後に、同法人により現在のように改装され、地域の小さな“お店っこ”になりました。
昨年度(平成26年度)は延べ5,291人の利用があり、なくてはならない存在です。
(岩手県では名詞の語尾に「(っ)こ」をつける習慣があります。同様に、お茶っこ、娘っこという言い方があります。)


写真(下)は店内の様子です。調味料やお菓子、乾物、野菜などの日用品のほかに、口内産のさくらんぼも。扉の奥には厨房もあり、毎週火曜日と木曜日には手作りのお惣菜も提供されます。この日はごしょ芋コロッケが店頭に並んでいました。

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「店っこくちない」の運営、地域ボランティアタクシー、高齢者の生活支援など、地域住民がお互いを支えあうこれらの取り組みは、平成24年には県知事からも表彰されています。

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おばあちゃんから小学生まで使う地域ボランティアタクシー

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地域ボランティアタクシーは口内住民であればどなたでも利用できますが、移動範囲や利用条件の違いで「町内型」と「福祉型」の2種類があります。
いずれも会員制で、前日までの予約が必要です。料金は事前に購入するチケットで当日精算します。
  • 町内型:口内地域の移動限定、利用条件なし
  • 福祉型:北上市中心部まで移動可能、利用条件あり
「町内型」は片道一回100円で、口内地域ならどこにでも送り届けてもらえます。一番多い使い方は、自宅と最寄りのバス停間の移動です。口内地域では一部でまだ路線バスも走っていますが、一日4便、土日は運行していません。最寄りのバス停といっても気軽に歩いていけないほど距離があるため、路線バスと民間タクシーを補完する位置づけで機能しています。

ほかにも敬老会への参加、お墓参り、親戚や友人を訪ねるための気軽な外出にも利用されています。小学校が夏休みや冬休みに入ると、子供たちによる利用もあります。学校のプールに出かけたり、公民館などでの勉強会に通うために利用されるのだそうです。学校の統廃合により普段はスクールバスが運行されていますが、長期休業期間中はお休みのため、共働き家庭の親御さんからも必要とされています。

「福祉型」は要介護者で、市から認定を受けた住民だけが利用できます。主に通院に利用されることが多いので、移動範囲は北上市中心部にまで拡大しますが、料金は自宅から目的地までの距離に応じて変動します。自宅から8キロまでが800円、8~12キロまでが1,000円、12キロ以上が1,200円ですが、現在の平均的な利用料金は一回あたり1,000円だそうです。

全国に先駆けて始まった地域ボランティアタクシー

岩手県の場合、平成23年の東日本大震災で被災した沿岸地域で同様のサービスを導入した事例もありますが、口内では平成22年から本格的に始まりました。

導入のきっかけは、口内地域を走る2つの路線バスの路線減少や縮小でした。民間タクシーの利用も可能ですが、口内地域が北上市中心部から離れていることもあり(片道3,500円程度)、口内地域内の移動となると、いつもタクシーを使うわけにはいきません。


地域ボランティアタクシーのドライバーは、口内の主に農業者か定年退職者が担っています。沿岸地域にある自動車教習所で2日間講習を受けたり、車両保険や届け出など、諸々の条件をクリアしてから従事しています。ボランティアとはいえ人の命を預かる立場ですから、この辺は抜かりなく対応しています。

ドライバーには手間賃として、往復のガソリン代と1回あたり300円から1,000円が支払われています。金額は町内型か福祉型かで異なります。

導入当時は全国的に見ても珍しく、社会福祉協議会などが実施していた限定的な輸送事業以外では先行事例がほとんどありませんでした。そのため、平成20年に社会実験として立ち上げるところから、実際に運行が開始されるまでの約2年間は、関係各所との協議や調整、運営に必要な法人格の取得などに奔走されたそうです。こうしていくつもの壁を乗り越えたおかげで、今や多くの自治体や団体が視察に訪れる先進的なモデルケースとなりました。
北上市の誇りですね!

家族と暮らしていても利用する理由

普段から利用されている地域の皆さんにお話を伺いました。独居での利用はもちろんのこと、ご家族と暮らしていても頻繁に利用する事情があるようです。

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たとえば、夫婦健在で自家用車があったとしても、80代や90代といった高齢になると、互いに運転を頼むのは怖いと思う方もいます。高齢になったので免許を返したという方もいます。

また、北上市に限らない話ですが、広い岩手県では車で片道1時間以上かかる地域まで仕事に出かけることが少なくありません。このような場合、仕事で疲れた息子さんや娘さんに気を遣い、頼みごとがしにくいという事情を抱えた方もいます。

そんな時、格安で利用できる
地域ボランティアタクシーは、自分の意思で行動する自由を与えてくれるのです。
この自由の良さは当事者にならないと実感できませんが、いつかは我が身と、そう遠くない未来を想像しました。

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利用者は増えているが問題も

平成22年度は利用者数【240人(町内型)、15人(福祉型)】からスタートした地域ボランティアタクシーも、昨年度(平成26年度)には【917人(町内型)、280人(福祉型)】にまで増えました。

増加の背景については、NPO法人くちない事務局長の今野さん(写真下)が、このように補足しています。

「地域型も福祉型も、少額でも利用料金が発生することで気持ちとして割り切ることができ、気兼ねなく使ってくださる方が増えています。特に福祉型は、家族や親類縁者に病院への送迎を頼むことを心苦しく思う方もいました。こういった方々が徐々に利用し始めています。」


送迎というのは意外と時間が拘束されるものです。通院となると、予約時間に送ったものの、何時に終わるか目途がたちません。このサービスを利用すれば、ご家族も安心して仕事に出かけることができます。

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前述の利用者のお話も含めて、取り組みとしては地域に歓迎されていることが分かります。一方で、運営資金の確保や、ドライバーの担い手不足という問題も抱えています。

現在10名いるドライバーのうち、4名が高齢を理由に辞めるそうです。利用者の利便性を考え、相乗りではなく個別輸送のことがほとんどのため、ドライバーの都合がつかない場合に備え、今野さんもドライバーの研修を受け、常に事務所で控えているとのことでした。

地域の未利用資源を活かした商品開発

利用者は増えているので、非営利とはいえ最低限の活動資金は必要です。そこで運営の足しにと開発されたのが、口内でとれる「ごしょ芋」を使ったコロッケと餃子です。返礼品の商品名に「おばあちゃん」や「おでかけ」「乗せてけろじゃ(乗せてくださいの方言)」という名前がついている理由です。

実をいうと、ごしょ芋は雑草よりも繁殖力が高く、地元の方はほとんど食べないという厄介者だったそうです。

「ごしょ芋」という通称は「五升芋」が訛った形で、一般的には「菊芋」として知られています。何もしなくても増えていくその繁殖力の高さを、お米を量る際の一升、二升という単位を使い、五升の重さになるまですぐに増えていくという理由からこう名付けられました。

厄介者とはいえその生命力の強さは、食べるとなんだか長生きしそうですね。

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噂のごしょ芋コロッケをひとついただきました。今野さんから「普通のコロッケとは別物なのですが。」と聞いていましたが納得です。

コロッケというと、じゃがいものほくほくした食感、時にはごろっとした牛肉、時にはとろっとしたクリーミーさが想像されますが、いったんコロッケの概念を捨ててみましょう。

そもそもごしょ芋は、「芋」とついていますがでんぷん質が少なく、繊維の塊といっても過言ではありません。見た目も生姜のようです。じゃがいもよりは、レンコンやヤーコンのほうがイメージに近く、その機能性が注目されています。イヌリンという成分を含み、これが高血糖に効果があると言われています。取材に同行した方からも「繊維たっぷりなので翌日快調ですよ♪」と感想をもらいました。

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私は食べてみてどこか懐かしい感じがあり、素朴な肉じゃがを思い出しました。“素朴”も“肉じゃが”も個人によって違いますから、なかなか伝わりにくいのですが、どうでしょう。一度試してみませんか?私はたまに食べたくなる味だなと感じました。このごしょ芋コロッケは北上市内の学校給食や学童などでも提供されているのですが、小さい頃から食べていると、大人になった時の口内ソウルフードになるかもしれません♪

▼5,000円以上10,000円未満の寄附でもらえる
28A033 おばぁちゃん乗せてけろじゃコロッケ・餃子セットA
http://www.furusato-tax.jp/japan/prefecture/item_detail/03206/133592

▼10,000円以上20,000円未満の寄附でもらえる
28B070 おばぁちゃん乗せてけろじゃコロッケ・餃子セットB
http://www.furusato-tax.jp/japan/prefecture/item_detail/03206/133673

▼30,000円以上50,000円未満の寄附でもらえる
28D012 おばぁちゃん乗せてけろじゃコロッケ200個
http://www.furusato-tax.jp/japan/prefecture/item_detail/03206/133729


NPO法人くちないからのメッセージ

最後に、今野事務局長からメッセージをいただきました。NPO法人くちないの取り組みを応援してくださる正会員や賛助会員を募っています。




カメラの前でかなり緊張されていた今野さん。撮影後はほっとした表情になりました♪
NPO法人くちない 活動詳細




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編集後記

北上市は16地区に分かれており、その一つに「口内地区」があります。(「くちない」と読みます)
この地区は北上市の中でも高齢化率がとても高いところで、このままだと平成31年には限界集落化(65歳以上が50%以上)すると言われてます。

  • 人口  1,653人
  • 世帯数  555世帯
  • 面積    31km2(東京都板橋区とほぼ同じ広さ)
  • 水田    440ha
  • 高齢化率(65歳以上)40%、75歳以上25%
この地域の課題はいろいろあります。
  • 交通・・・バス路線は1路線のみで1日4本
  • タクシー・・・街中から遠いため、迎車はできるが近距離は難しい
  • 作業・・・除雪、草刈り作業が出来る世代が少ない
  • お店・・・買い物や飲食をする場所があまりない
NPO法人くちないはこれらの課題を解決するために地域の方々で設立した支援団体です。
中でも交通問題を解決するための「自家用自動車有償旅客運送」(地域ボランティアタクシー)は素晴らしいです。
これは地域の方が自家用車で要介護者をはじめ、お年寄りや子供を輸送するものです。
このような説明をすると「白タク」のように聞こえてしまいますがきちんと許可をとって運行しています。
この利用者は年々増えており、昨年度は1,200名以上の方が利用されています。
このような地域ボランティアタクシーが必要な地域は日本各地にあるため、視察も多数来ています。

「店っこくちない」は地域の方々が買い物やお茶っこをするための場所です。
店内には、地域の皆さんが集まって、お茶しながら楽しくお話できるスペースもあります。
ちなみに私のような外から来た人間は「街中に多数便利なお店があるのになぜこのような雑貨屋さんが必要なのだろうか・・・」と思いますが、お年寄りの要望のひとつに「自分で買い物をしたい」があり、そのためには家族に街中まで送ってもらわねばならず、「迷惑をかけたくない」という気持ちからなかなか頼まないそうなのです。

それを聞いたとき、田舎の祖母を思い出しました。

小さい頃は毎年夏休みに長野の祖母の家に遊びに行っていました。
祖母は車の運転ができませんので、私のために叔父さんや叔母さんに頼んで私の好きそうなお菓子を街中まで買ってきてもらっていました。
ただ、たまに行商の方が家に来た時は一緒に選んで買ってくれました。
当時のことを思い出すと「直接自分で買い物したい」「孫のために自分が買ってやりたい」という気持ちが分かる気がします。
そういえば沿岸被災地のお年寄りたちも同じようなことを言っていました。

外の人間にはわからない「大事なこと」が各地域毎にあり、それを知っている地域の人が、その大事なことを守っていることに改めて気づかされました。

NPO法人くちないではふるさと納税制度以外でも活動資金の寄付、そして活動に関わってくれるボランティア会員を募集しております。
ご興味がある方はお問い合わせください。

ちなみに口内地区の星空は日本の中でBEST10に入ったことがあるらしく、星まつりイベントも開催されていますので、ぜひ立ち寄りください。
※詳細は直接お問い合わせください
NPO法人くちない 活動詳細

平成26年6月17日
北上市 地域・産業連携復興支援員 登内芳也



■本文(文、写真):(株)キミドリ
■本文写真(一部)、編集後記:登内芳也